10と12の公倍数。それが60。
60年で年の干支は一巡。だから還暦。
12という数字に,古代の人は目をつけた。
古代の人は天体をよく見ていた。
月が丸くなったり消えたりを繰り返すことを,
およそ12回繰り返すと,季節が一巡りすることに気が付いた。
季節が巡るにつれて,太陽の動きと夜空の星が変わり,やがてまた同じ空が戻ってくることに気が付いた。
星空にある明るい星の中に,毎年同じ場所に戻ってくるわけではない星があることに気が付いた。
その星は,12年で星空を一巡りし,やがてまた同じ場所に戻ってきた。
月が12回めぐると季節が1回めぐる。季節が12回めぐるとその星が1回めぐる。
その明るく立派な星を,西の人は神の王ユピテルと言った。東の人は歳月を支配する星,歳星と言った。
神秘の数12に気が付いたのは,どこの人だったのか。
10との最小公倍数60を重視したのは中東のシュメール人であった。
彼らの12への執着は,西では黄道12星座となった。
東では十二支になった。